こんにちは。
僕たちが設計監理しました、あおいけあさんの小規模多機能型居宅介護施設「おとなりさん」の完成写真をアップします。前回は、外観でしたので、今回は内観を。
この施設は、主に認知症の高齢者のためのデイサービス、ショートステイ、訪問介護のためのプラットフォームになります。しかしこの建物、社長の加藤さんの高齢者福祉に対する考え方を実現するもので、地域に開かれた食堂が施設内に計画され、2階には3戸のアパートと多目的室が用意されています。
食堂の名前は「菜根や」。同施設の食事を一手に切り盛りされている希さんの美味しい和食をいただくことが出来ます。しかもこの食堂、高齢者施設との物理的境界がなく、施設利用者の方とゆるくつながっているんですね。
2階のアパートの一室は「亀井野珈琲」という名前のカフェになりました。美味しいドリップ珈琲をいただくことが出来ます。バリスタの山口さんは、美容師の前田さんと「me-mO」というユニットを作られていて、今まで無店舗で施設などに訪問して珈琲を淹れたり、散髪をされていました。
多目的室は、小学生がカードゲームなどに興じる社交場、否秘密基地として利用されているようです。
加藤さんをはじめとして、ここに集われている人たち、またこの施設は、誰もが目に見えないままに線を引いている境界を取り払おうとしています。近代的な分類化と管理のシステムによる合理化された社会は、仮にマジョリティによる健全な社会生活なるものがあるとするならば(そんなもの幻想だと僕は思いますが)、そこから外れた人を切り離し、隔離し、そうした社会から目の届かない場所へ遠ざけることをしてきました。彼らがやろうとしていることは、「閉じない村」とでもいうような小さなネットワークによる境界の横断です。そして僕たちが考えたこの施設とは、そうしたつながりを育む「傘」をつくることにありました。