建築スケッチ会 藤沢へ

2013年3月2日、土曜日、晴れ、武蔵野美術大学建築学科スケッチ会のメンバーと藤沢まで行ってきました。

ここ藤沢では、『アントニン・レーモンド 遠藤新 展』が開催されており、同校OBで建築家の前田忠厚さんがこの展覧会の実行委員長をされています。前田さんから同校講師の小倉康正さん、小林敦さんに連絡が入り、藤沢でのスケッチ会の実現に至りました。

小倉さん、小林さんは、このスケッチ会の主催者です。

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午前10時30分、JR藤沢駅に集合。前田さん、小倉さん、小林さんと建築学科の1年生が5人、それに僕。

今日のスケジュールについて。

まず前田さんのご案内で、『アントニン・レーモンド 遠藤新 展』を見学に。その後小田急電鉄江ノ島線で善行駅に移動、レーモンド設計の『旧藤沢カントリー倶楽部クラブハウス』へ。ここで昼食と2時間弱のスケッチを行う。藤沢駅に戻って、遠藤新の『旧近藤邸』を見学、スケッチ、というもの。

『アントニン・レーモンド 遠藤新 展』

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左手前から小林さん、小倉さん、前田さん。

展示品は、あまり多くはないものの、その密度に圧倒される。レーモンド設計『旧藤沢カントリー倶楽部クラブハウス』詳細図の美しさに感激。

他図面、パース、模型、実物の家具等が並ぶ。展示空間をお見せできないのが残念。

前田さんの詳細な説明により、理解も深まる。感謝。

ここで前田さんとはお別れし、『旧藤沢カントリー倶楽部クラブハウス』へ。

『旧藤沢カントリー倶楽部クラブハウス』(1932 アントニン・レーモンド)

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むむ、ボロい。けれど改修があまりされていないため、レーモンド設計当時の空間体験ができる。想像していたよりも簡素なつくり。僕のお気に入りは、エントランスホール。住宅などでも応用できそう。

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グランドレベルのホールは、現在食堂になっている。周辺がスポーツ施設になっていて、利用客が多い。メンチカツ定食600円、ヴォリューム満点、おいしい。

お腹いっぱいになったところで、スケッチの時間。

2時間弱では、ちょっと足りないね、などと言いながら次の見学場所へ。

『旧近藤邸』(1925 遠藤新)

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フランク・ロイド・ライト譲りの水平線を強調したファサード。軒高も低く抑えられている。北側からのアプローチ。品のいいこじんまりとした玄関、天井高は、2.1m程度か。玄関床には、大谷石が敷かれている。玄関扉を開けると正面には、南の庭への開口、右手西側が暖炉のある居間、その奥に床の間のある和室と続く。左手東側は、生活空間で床が20cmほど上がっている。生活空間の床高を上げたのは、遠藤の「人は低い方へ流れていく」という考えから。僕も玄関から迷わず居間へ。実証されてしまった。

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居間の天井高は、2.4〜2.5m程度の緩勾配。北側には大谷石の暖炉、南の庭に面して開口があるが、これは腰窓、下部は、作り付けのソファーになっている。暖炉を囲むことを意図しての設計だと思うが、心地いい。天井は、玄関まで一続きで、空間の広がりを演出。ニクい。

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居間から続く和室。小林さん曰く、鴨居、長押で上下の縁をきることで、天井を意識させない、とのこと。納得。

『旧近藤邸』で実現されている遠藤新のプロポーション感覚と、これを実現するための工夫は、秀逸。遠藤建築については、今まで正直食わず嫌いであった。食べてみたらとてもおいしかった、という感じ。遠藤先生、ごめんなさい。

『旧近藤邸』を2時間ほど見学、スケッチして、今日のスケッチ会は終了。学生のスケッチ講評をして帰路についたのでした。

前田さん、小倉さん、小林さん、学生のみなさん、とても楽しい1日でした。改めてお礼申し上げます。

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このスケッチ会は、同校建築学科で講師をされている小倉康正さん、小林敦さんが立ち上げた会で、学生、特に1年生のスケッチの力を上げることを目的とするものです。

スケッチの力を上げるといっても、デッサン力を養うということだけでなく、建築の空間やディティール、寸法についてスケッチを用いてアウトプットすることで、建築的な見方を学ぶことを目的としています。

近年、美術大学といっても建築学科などは、入学試験が多様化し、選択によってデッサンを行わないまま入学してくる学生も増えています。

絵が描けなくても建築は勉強できるとは思いますが、とうの学生達は、入学してファインアート系、デザイン系の学生達の作品に接して、気後れしてしまったりするようです。

この会は、不定期ながら土曜日の5コマ目が終わった後に開かれています。小倉さんと小林さんは、完全無給で同会を運営しています。彼らの学生に対する熱い思いに心震わせ、尽力に感謝。