千葉への事務所移転、1979年築のビルの一室の内装工事顛末記の第四弾です。
内装工事も8割程度終了し、空間の雰囲気がつかめてきました。
造作壁のボードのパテ処理を塗装屋さんが一生懸命やってくれています。構造躯体の床、壁、天井は、そのまま仕上げとして使用するため、壁のGLボンドの跡は、そのまま残します。造作壁のパテ処理の模様がこれと重なって、なかなか素敵です。
このままで手を止めるか、という選択肢もありそうですが(本当にそんな選択肢あるかな?)、今回は、躯体と造作壁を対比的に見せるため、きっちり仕上げしていきます。
写真手前の床を200mmほど上げた小さなステージは、302角のタイル(サンワカンパニー ボルケーノ302ミネラル)張り。鉄錆のような、あるいは緑青のような風合いのタイルです。イタリアのものなので、直角が出ていない、厚さやサイズがまちまちという、なかなかおおらかなものですが、そこがいい。コンクリート躯体に負けない力強さがあります。
このステージの上には、キッチンのような家具が乗る予定です。ここから造作壁の開口を通じて、洗面、トイレへとつながります。
写真は、180度回転してエントランス側を見たものです。正面の壁は、共用部を仕切るものですが、コンクリートブロックのため、解体時にずいぶん穴を開けてしまいました。ということで、全面モルタル補修しています。これはこれでコンクリートと異なる風合いで美しい。ラスを入れて割れ防止にも気を配った施工です。
左手奥、造作壁の裏側は、キッチン関係のバックヤードです。
それにしてもエントランスの扉が、ダッサイです。しかし大丈夫、仕事中は、開放してしまいます。そのため、エントランス扉の内側にもう一枚建具を取り付ける予定です。
執務空間バックヤード、ここはほとんど完成です。あとは、照明、スイッチ・コンセントBOXを取り付けて、床に防塵クリア塗装を施すのみとなりました。造作壁の仕上げは、ラワン合板、指定をしないと、白かったり赤かったり黄色かったり、つまり写真のようになります。
向こうに見える天井まで伸びた合板の部分がトイレです。
トイレの壁の中には、防音対策で断熱材のスタイロフォームが入っています。90mmの壁厚なので、グラスウールだと合板が膨らんでしまうのです。緊張した打ち合せ時に、なんかトイレからいろいろ音が聞こえてきたら心が萎えそうなので、対応しておきます。
南側の大きな開口には、見付60mmの木枠を取り付けて、額縁を強調しています。素材は、スプルース、節のない白木です。
オイルステインを塗ると、この風合い。コンクリートに馴染みます。トメの加工が美しい。結局、素材の習性を見極めて、部材の取り合いを考えて、荒いものと繊細なもののバランスを考えて、こうしたことに気を配り続ける作業が、僕らの仕事だと思います。
執務空間の真ん中の床からニョキッと出ている憎いヤツ、でかいミミズのようでもありますが、電話線です。
ここで朗報、今回ケーブルテレビから電話を引くことにしたのですが、その場合、テレビ線のみで対応できるんだとか。つまりミミズくん、君はいらないんだよ!皆さん知っていましたか?えっ、常識なの?
床をモルタルで補修して、ミミズくん、さようなら。埋めちゃうか、という話もありましたが、今後使用することも考慮して、カバーして冬眠してもらうことになりました。
造作壁は、薄い一枚の板に見えるかな?
あとは建具工事、家具工事、機器の取り付けと塗装工事で完了です。完成が楽しみです。