長尾重武教授退任記念パーティーとアートサイト八郷

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イタリア・ルネサンス、マニエリスム、バロックを中心とする建築理論、作家論研究の大家であり、武蔵野美術大学建築学科教授でもある長尾重武先生が、この3月で同大学を退任されます。

2015年3月8日雨のちくもり、武蔵野美術大学建築学科の在学生、卒業生が音頭をとって、先生の退任記念のパーティーが開催されました。場所は茨城県石岡市の八郷地区、美しい田園風景広がる里山、茅葺き屋根の一軒の民家です。

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2008年、当時長尾先生のゼミ生の一人が茅葺き職人を目指したことから、この話ははじまります。彼は関東の茅葺き屋根の集落を探して回り、行き着いたのがここ、八郷でした。長尾先生も現地を訪れ、その後地域の方々の多大なご協力をいただいてレールが敷かれました。

翌年には、この地で卒業設計を行ないたいという学生が現れます。その後ゼミや学科、学校をまたいで学生の輪は広がり、『アートサイト八郷』としてアート活動を行う一つの拠点となりました。

僕は学生の活動をおもしろがっている一人に過ぎませんが、これに賛同する地域の方や石岡市役所観光課、同大学の講師のご協力もあり、年々その活動の幅を広げています。長尾先生は、八郷とのパイプをつくられて学生の活動にそっと寄り添われてきました。学生は、進級や卒業を迎えて代を更新しながら、自由に創造の芽を育んでいます。

今回、八郷に関わってきた多くの学生により、彼らの創意工夫による素敵な長尾先生の退任記念、それから『アートサイト八郷』の活動5周年を祝うパーティーが催されたというわけです。

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多くの人たちが集いました。

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お料理も学生達の手作り。大変美味しかったです。ごちそうさまでした。

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裏方の学生達も一生懸命でした。どうもありがとう。

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長尾先生も楽しまれていました。

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談笑風景。写真は、鈴木明教授と卒業生。

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なんだかよく分からないけれど、リズム隊も登場。

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最後に長尾重武教授が、八郷との出会いから現在の『アートサイト八郷』の活動にいたる経緯を、まるで物語を語るかのようにロマンティックな語り口でお話しくださいました。

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このような素敵な宴にお誘いいただいて、この場をお借りして学生の皆さんへ感謝申し上げます。ありがとうございました。それから長尾先生、ご退任おめでとうございます。これからの増々のご活躍をお祈り申し上げます。

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本当に素晴らしい会でしたので、和やかにここで終わりにしようかと思いましたが、最後に学生の皆さんへ、ひとつ宿題を出したいと思います。これは、久しぶりに八郷の風景と学生の皆さんがつくられた数々の作品を見て思ったことであり、僕自身に向けられた問いでもあります。故に解答はありませんし、また君たちが回答する期限もありません。ものを思考し、つくるという行為の過程で、少しだけ心に留めておいてほしいというものです。

問いは簡単、『「美」をどのように継承し得るか?』です。

これについて解説すると、もう一本ブログが書けてしまいますので、ここではかいつまんで説明します。

『里山とは人造物です。自然(ネイチャー)と人間の農耕(カルチャー)が高橋晶子先生の言葉をお借りすれば「グラーデショナル」、あるいは悠久の時を経て混ざりあって出来上がった奇跡のような風景といえるでしょう。そうした場所に新たにものをつくりあげるということは、どのような意味を持つのでしょうか。作家と対象物としての作品、この関係において「美」を探ることは、もしかしたらさほど難しいことではないかもしれません。しかしそれを超越的視点を用いて、作品が環境に対してどのように作用するかを考えてみてください。そのとき「美」はどんな風に立ち上がるのでしょうか。』

現在僕がこういったことを思考するのにガイドとしている本がありますので紹介しておきますね。

『美はなぜ乱調にあるのか』(大澤真幸著 青土社)