2015年4月10日(金)曇りのち雨、千葉里山の住宅が上棟しました。
Sさんご家族みなさま、おめでとうございます。
当日は、棟を上げて垂木を架けたところで雨が降ってきてしまい、工事中断。翌日土曜日も雨、週明け月曜日も雨の予報。「屋根まで架けちゃいたいな」という大工さんの熱意で12日の日曜日に急遽工事をすることになりました。
このお家は正方形平面の方形屋根なんですが、屋根を支持する束や柱がなく、上り梁を架けてこれに垂木を流し、その上に24mm厚の合板を張ることで剛性をとるというもの。つまり屋根も含めて建築が一体の構造になっているため、早く剛性をとってしまいたいのと、雨にあまり濡らさないように屋根を架けたいという理由がありました。
加えて屋根に敷き詰められた合板が雨にぬれるのも避けたい。というのは、合板は水にぬれると強度に不安が出ます。張った合板の上にルーフィングを貼るまでを日曜日の一日で終えてしまおうという訳です。
大工さんたち、頑張っていただきました。夜の8時近くまでかかって、作業終了。監督さんももともと大工さんなので、一緒になって頑張ってくださいました。ありがとうございました。
まだ柱が軒桁まで伸びているのが見えますし、軒先もつくられていないため、外壁と屋根のプロポーションが分かりにくいですが、出来上がってくると壁の立ち上がりはH1800で抑えられ、屋根のボリュームが主張してくると思います。
ちなみに軒の出は1200ですが、これを10cm伸ばすと風圧力が1.4倍になります。様々な要因によって、建築は決定されています。
軒の端部の納まりは、当初鋭角にしようと思っていました。林雅子さんの図面などを参照すると鼻隠しをがっちりした三角形でつくっていて、これで垂木の暴れを押さえ込んでいるのがよく分かります。今回はそうした部材を使用するほどお金をかけられません。ここに関しては何度も図面を描きましたがどうもうまくいかない。最終的には監督さんと大工さんのお知恵をお借りし、標準的な納まりを繊細にできるぎりぎりの寸法にすることで決定しました。現場の基本は極めて理論的です。設計者も現場の声を聞き、そうしたことを学びながら最良解を導く、これも現場との対話による設計の醍醐味でもあります。
屋内風景。といってもまだスカスカですが。外周部の床高H1800から平面中央の居間まで、天井がせり上がっていきます。
棟のオリジナルの仕口金物です。一本は上り梁、他の四本は構造的に効いている隅木です。上棟時、これを施工しただけでは、隅木がぐらついてしまうのではないかと監督さんが心配して、仮柱も用意していました。しかしこれだけで十分頑丈だったので、現場も一安心でした。