「地方」の在り方を考える -甲府と千葉をモデルとして-その1

現在僕の事務所では、山梨県に戸建住宅を設計中です。甲府を拠点に活動されている丸正渡邊工務所の渡邊副社長からご紹介いただいた方のお家を設計しているのですが、4月19日(日)にお施主さんと打合せ後、彼と夕食をご一緒しました。

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渡邊君は、僕が非常勤講師を勤める専門学校の教え子です。とはいっても、彼は大学卒業後ホテル業界で経験を積み、結婚し、お子さんもいる状況で入学してきたため、入学時すでに30代半ばであったと記憶しています。

彼のご実家は、甲府で建設業を営んでおり、専門学校を卒業後Uターンして会社を継ぎ、また新しい事業を展開しながら現在甲府で大変活躍されています。

そんな彼に紹介していただいて入ったお店は甲府駅からほど近い、一軒のダイニングバー「Four Hearts

甲州ワインを豊富に取り揃えていて、また地の野菜をふんだんに使ったカジュアルなイタリアンは本当に美味しいものでした。

このお店、渡邊君の行きつけであり、またお店の面白さにひかれて彼の会社で内装工事をお手伝いしてもいます。彼の顔がきくということもあり、この日は多くの甲州ワインを内緒で試飲させていただきました。そのバリエーションの豊富さに驚き、その中から好みの一杯をいただく楽しさは格別でした。

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渡邊君は、ポーターズペイントという塗料メーカーと代理店契約を結び、これを入口として新築、リノベーション物件等、これによる独自性を活かして販路を開拓しています。また地元で活躍されている建築家と協働することで、山梨における住宅の新たなブランディングを構築してもいます。

彼が優れていると思うのは、土地に根ざしながら地域の独自性による価値を見いだすとともに、必要とあれば簡単に境界を飛び越えて東京の優れた部分を持ち込めることです。これは彼が長年東京の一流ホテルで触れてきた、人とものの価値を吟味する力を養ってきたことが今に活きているのだと思います。

Four Hearts」での食事は、まるで渡邊君の活動の縮図を見ているようでした。山梨にある数々のワイナリーの個性豊かなワインを網羅し、地元でとれる野菜の素材の味を最大限引き出した料理を振る舞う。これはこの土地、この場所でしか味わうことの出来ないものです。この点で地方の独自性を価値に押し上げていて、この地を訪れた人に胸を張って地域を紹介出来るわけです。同時にバルという形式をとり、カジュアルな店内と店員さんの接客により、間口を広げて地元の人に新しい価値を吹き込むことを可能にしてもいるんですね。

僕自身、彼の活動が東京発信のコンサルティングによる地方再生とどのように違うのか、違うのは理解できるのですが、まだ咀嚼しきれない点で言葉にできない部分が多いのも事実です。今後、彼の活躍を見守りながら、何らかの接点を持ち続けられれば、と思っています。それは、僕が学ぶことで、僕の活動拠点である千葉に還元できないものだろうかという思いがあるからかもしれません。

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