2016年3月30日水曜日、雲の切れ目から時折お日様が覗く春らしい陽気の中、埼玉県深谷の住宅の上棟式がとり行われました。
棟上げ完了の予定時刻は、午後3時。
現場を確認しておこうと僕は、午後2時に現地入りしました。
敷地は、お施主さんのご実家の南側、ご実家には、お施主さんご夫婦のご両親、ご兄弟が集われていて、ちょっとしたお祭りのような感じです。
この時点で、まだ1階の梁が組み上がったところ。3時に間に合うのかなあと思いながら、敷地をうろうろしながら棟上げの様子を見守ります。
平面的な大きさから考えて、これぐらいのボリュームになるであろうと大きさをイメージしていたのですが、あら、一回り大きいですね。
単純な2階建ての住宅なんですが、天井高が高く、また、トンネル状の計画のためこれを囲う4寸角の柱が狭いピッチで立ち上がり、予想を覆す存在感です。
「梁も立派ですね」などと自分で設計したのに、他人事のように僕もお施主さんのお父さんに話したりしています。
午後3時、まだまだ上棟には時間がかかりそうです。大工さんが予想していた以上に部材が大きく、また多くて組み方も複雑だったため難航したんだとか。この間に現場監督の岡田さん、深谷さんとサッシ廻りや外壁、屋根の端部の納まりや色について打合せを行ないます。
そうこうしているうちに2階の胴差まで組み上がり、体裁が整ってきました。
合板も筋交いも金物も入れてないのに水平垂直でちゃったよ、と岡田さん。
午後5時、陽も西の空に傾く頃、いよいよ上棟式が始まりました。
屋上に祭壇が設けられました。清めの酒を手にしているのが大工の棟梁、向かってその左が基礎をやってくださった親方、そのお隣が小沢工業の現場監督の岡田さんです。
上棟式というのは、地面(基礎)に関わる工種からその上の家をつくる大工への引き継ぎの儀式でもあるんです。「基礎を一生懸命作ってくれてありがとう」、「これから上物の工事よろしくね」って。
そう思って見てみると、このスリーショットは、なかなか素敵な光景です。
お施主さんのご家族、ご親戚、近所の方たちも集まって、餅まきも行なわれました。
昨今は、地鎮祭や上棟式も簡略化されたり、やらないことも多くなりました。けれど、こうして多くの方々に見守られながら家がつくられていくというのは、祝福を持ってその家が家族や近隣の方に受け入れられたということでもあり、設計者としても幸せを感じることが出来るものです。
改めて、家は土地に根付くものなんだと実感しました。
お施主さんご夫婦、ご家族みなさま、大変立派な上棟式に出席させていただき、ありがとうございました。
改めておめでとうございます。