梅雨入りしましたね。湿気も多くて不快な時期ですが、晴れ間がのぞくと夏を思わせる気持ちよさがあります。
僕はといえば、とても忙しい毎日をおくっています。抱えている物件が多いということもありますが、時間に追われている設計があり、猫の手はいらないですけど、お手伝いしてくださる方は欲しいなあと思っています。
けれど本当に忙しいんだろうかと思って、ちょっとした計算をしてみたんです。
仕事10時間、通勤往復2時間、夕飯、入浴を兼ねて子どもの世話4時間、これに朝食、昼食、おトイレの時間を2時間とすると、一日の残りは6時間になります。もちろんこの残りの6時間全てを睡眠に充てられるわけではないので、やはり忙しいんですね。
ですから、ちょっと街に出かけてみようとか、洋服を買おうとか、美術館に行きたいなあとか、もうぜんぜん叶わないですし、設計された建物の内覧会のご案内やお酒のお誘いを多くの方からいただきながら、すべてお断りしていて、なんだかとても申し訳なく思っています。
そんな生活をおくっていたら、ドカーンってなりまして。やってられるかってなりまして。それで6月4日の土曜日にスタジオ・スペース・クラフトの福島さんと遠山さんが手がけられた住宅のリノベーションを見せていただこうと、妻と一緒に、息子を連れて、松戸までドライブがてら行って参りました。
ハウスメーカーで建てられた鉄骨造の戸建住宅の1階部分の改修なんですが、お施主さんご夫婦がアンティークショップを経営されていて、小物から家具、扉まで、とにかく素敵なアンティークで溢れているお宅だったんです。
こういうお家の改修は、大変です。ものが多いことよりも、いいものが持つ力みたいなもの、個性と言っても良いかもしれませんが、建築がそれに負けてはいけないですし、かといってそうしたものたちを無視するようでもいけないわけです。
同時に、こうした仕事は、極めてインテリア的な領域でもありますし、空間だとかの建築的要素を持ち込むのが難しいというのもあります。もっといってしまえばしつらえしかやりようがないのでは、と思ってもしまうわけです。
実際にお宅を拝見して思ったことは、福島さん、遠山さんのアプローチが丁寧であることです。お施主さんがお持ちのものをひとつひとつ確認されたんでしょう、そうしたものたちが抑制の利いた棚に飾られ、とともに初めからそこにあったように収納されてもいました。こうした建築的な処理はさりげなく、控えめであって、これとは対照的にケヤキのカウンターの取り付けられたタイル張りのキッチンが場を引き締めるオブジェクトとして主張していました。
圧巻だったのは、ワンルームの玄関アプローチとLDKを古材の柱梁で仕切られていたことです。はじめ僕は、これをインテリア的な化粧だと思っていたのですが、体験してみると、空間を分節しながら適度につなぐ装置として、もっと言ってしまえば建築的操作として機能させていることでした。
こうした場の仕切り方は大変勉強になりましたし、今度どこかで使ってやろうと密かによからぬ考えを巡らせもしました。
いずれにせよ、お施主さんの非常に嬉しそうな笑顔が印象的でした。
福島さん、遠山さん、ありがとうございました。
写真は、幾らか撮った中の数枚を掲載しています。JPEG撮って出しです。広角端24mmのコンデジを持参したので、空間を捉えきれなかったのと、同じ時間にフォトグラファーによる撮影が入っていたため、撮りたいアングルでの撮影が叶わなかったのが残念でした。
キッチンを正対で脚までいれて柱梁越しに空間の中に鎮座するショットを撮れなかったのが一番残念。
なんて、内覧会で写真撮影に固執する僕もちょっと気持ち悪いですが、実は、今の仕事が落ち着いたら、建築写真家としてデビューしようと画策中です。
仕事もらおうと思って、今から宣伝しておきますね。