2016年11月3日木曜日、文化の日で休日のその日、山梨県中央市の住宅では現場定例会議が行なわれました。
現場定例とはいえ、僕の事務所のある千葉からは距離も遠いため、ポイントを押さえての不定期開催で、今回は約1ヶ月ぶりの現場。普段は現場監督の角田さんと電話とメールのやり取りで打合せを行なっています。とはいってもほぼ毎日打合せしているのですが。
この日は、お施主さんにもご参加いただいて、天井の塗装色を決定するためのファーストプレゼンテーション。
このお家は、6つの、大きさの異なる小屋が横つながりにズレながらくっつく構成になっています。隣同士設置する箇所は、切妻の小屋の形状のまま開口となっており、内部に反映するのが特徴です。
床からH1860までの壁はすべて白い珪藻土の壁になっています。それより上の壁と天井は彩色した塗装になるんですが、6つの小屋それぞれ異なる色を採用して、小屋の自立性と隣接する空間との差異を強調しようと考えました。
僕の事務所では、色を扱うことも多いのですが、建築家の住宅で上手に色を使っているのをあまり見たことが無いですね。これは他の建築家さんを否定しているのではなくて、僕もそうなんですが、建築ってダイレクトに素材を扱うので、人工的な色を考えるのが難しいのではないかと思っています。僕も20代まではデッサンとか形を追うのは得意でしたが、色となるとどうしていいか分からなくなっていたなあ。
僕が色を扱えるようになったのは、考え方を変えたことにあります。色を考えるときに人工的な色ではなくて、自然にあるものの色を見て、そうしたものの組み合わせとか、明度、彩度、色相を検討するようにしたんです。そこから人工的な色の選定へとシフトすると、すんなりと決定することが出来るという。これは僕のやり方なので、誰にでも通用するものではないとは思いますがご参考まで。
お施主さんにお持ちした色のヴァリエーションは、1パターンのみです。お施主さんの好みもあると思いましたので、同系色で少し異なる色味も用意しましたが、これが一番いいと思うものをストレートにご提案しました。
色決めのルールは3つ。外壁がギンクロのため、落ち着いた配色であること。6つの色は、明度と彩度を統一し、色相のみの差異とすること。最後に隣り合う色が同系色にならないことです。
お施主さんの反応はどうかというと・・・、大変喜んでくださいました。
僕もホっと一安心。
次回、最終決定のために塗装屋さんに大きな色サンプルをつくっていただきます。
外壁のガルバリウム鋼板も張られはじめました。平葺きの外壁は、板金屋さんの手の跡も残しながら、いい味わいになっています。
このお家、小屋をずらしながらと申し上げましたが、敷地の既存樹木を逃げるように配置しているんです。果実がたわわに実った柿の木を避けていて、配置計画大成功です。
よく建築途中の躯体が見えている状態が一番かっこいいなんてことをお聞きすることもあるのですが、僕たちの住宅は数を重ねるほど、完成した時が一番と感じるようになってきました。次回の現場定例も待ち遠しいです。お施主さんのお心遣い、工務店副社長の渡邊君、現場監督の角田さんの詳細な現場ご対応に感謝申し上げます。
さあ、このお家もいいものになるように張り切っていきましょう。