2016年11月26日土曜日、快晴。
この日、藤沢にある「あおいけあ小規模多機能型居宅介護施設」の配筋検査がありました。
「あおいけあ」は、社長の加藤忠相さんが奥さまと立ち上げた認知症のある高齢者を対象とした、デイケア(一部宿泊あり)施設です。
「あおいけあ」については、どこから話せばいいのかというほど内容の濃いもので、それでも簡単に書くとすれば「既存の認知症高齢者を対象とした施設と全く異なるケアを目指した」施設になります。どのように違うのかといえば、利用者が拘束されるようなことを一切排除した、例えばお風呂には入りたいと思えばいつでも入れる、料理を作りたければ自由に作る、施設は施錠されておらず、利用者の方が主体的に活動することが出来る、そうしたことを出来る限り支援するような場所を用意していると言っていいかと思います。
またこの場所は、高齢者の方だけではなく、加藤さんのご自宅に隣接する敷地とそこに建つ施設群を地域の人に開放してもいます。小学生の通り抜けのスペースや、加藤さんのお父様の営まれる書道教室、不登校の学生の寄り合い場としても利用される解放区が実現しています。鎌倉で料理屋を構える稀さんは、この場所で利用者に食事を振る舞うとともに地域に開放したカフェを併設しようとしています。その他、バリスタの方や美容師さんが今回の新しい施設を間借りできないかと検討されている際中でもあります。それは、ひとつの地域コミュニティ、小さな村の実現でもあり、またひとつのビジネスモデルの提案でもあるのです。
加藤さんと「あおいけあ」、またそこに集う方々については、いくら書いても書ききれないのですが、そうしたことについては、このブログでも少しずつでも紹介していければと考えています。
さて、僕たちが設計したこの「あおいけあ小規模多機能型居宅介護施設」ですが、もう名前がついています。既にある施設は、「結(ゆい)」、「絆(きずな)」、「おたがいさん」と名前がついていて、今度の施設は「おとなりさん」と言います。
素敵な名前ですね。
その「おとなりさん」の配筋検査、いくらか是正箇所は出ましたが、無事終了しました。今までも他の建築で何度も配筋検査について書いているので繰り返しになってしまいますが、是正部分とはだいたい鉄筋の定着の長さ、かぶり厚、スリーブ部分の補強といったところです。今回は、基礎立ち上がりの無い建築のため、ホールダウンアンカーボルトが基礎の下端にくっついていて、これについてもコンクリートのかぶりを確保してもらうことになりました。
この施設、少し大きめの住宅程度のものですが、それでも法規や設備にかかる手間が多く、しかも年度事業のため、来年の4月1日から開所しなければなりません。今回の建設会社は、大同工業さん、急ピッチで工事を進めていただいております。
次回は、敷地に容積いっぱいに建ち、求められている諸室を入れるだけでガチガチに建築が決定されてしまう、しかも施設部分は間取りを動かしようもない状態で、そんな中でも建築的なプログラムなんてあり得るのか、なんてことを書いてみたいと思っています。