7月12日の金曜日、仕事をお休みにして、2つの個展、3つの美術館展のために東京へ行ってきました。
今回は銀座にある森岡書店で開催されていた松林誠さんの個展「青い蝶」をご紹介いたします。
僕はそれまで松林誠さんを存じ上げなかったのですが、Instagramで知り合った素晴らしい絵画を描かれる作家さんが同展を観に行かれたとお伺いして、それならばこの目で見てみたいと足を運んだ次第です。
松林さんの絵は、本当に気の遠くなるような線を追う繰り返しの作業から、こうでしかないという線が定着されている強さを含んでいて、それでいてその線は踊るように自由で、その絵画はチャーミングなものでした。それは、作品が言葉から解放されて、蝶が生き生きと空を舞うように美しく、至福の時間を過ごすことができました。
非常に個人的な見解ではありますが、僕はコンテンポラリーアート、特にコンセプチュアルな思考を規範化したものについて、そろそろその役目を終える時が来ているのではないかと思うようになってきました。これについては、また別の機会に書くこともあるかと思いますが、今現在、僕は絵画本来が有しているはずの卓越した技巧とこれに支えられた作家のセンス、その飽くなき継続から成立する絵画存在の強さにその興味を持っています。
つまりは、絵画それ自体が強く観るものを魅了するという、シンプルな作品と鑑賞者の関係、対話といってもいいですが、そうしたものこそ心を強烈に揺さぶるものではないかと思うのです。松林さんの絵画は、まさにそうした作品の一つであり、今回それを実際に観て体験することができたことを幸せに思っています。