こんにちは。
本格的な梅雨のシーズンとなりました。雨模様のぐずついたお天気が続いていますが、2020年6月21日の日曜日、県をまたぐ移動も解禁になり、埼玉県の秩父市と皆野町にまたがる標高581.5mの蓑山(みのやま)山頂にある「美の山公園」へ紫陽花の撮影に行ってきました。
美の山公園は、広さ41haの県立自然公園で、エントランス広場東側の斜面に4500株もの紫陽花が植わっています。山頂まで車で行けますし、秩父では珍しい独立峰である蓑山からの眺めは、日本夜景100選にも選ばれているそうで、美しい自然の中に身を置きながら野性味溢れる紫陽花を楽しむことができました。
当日到着したのは、ちょうどお昼ごろでした。朝まで降っていた雨も止み、それでも今にも降り出しそうな重く低い雲が空を覆っていましたが、そんなお天気でも映えるのが紫陽花ということで、2時間の撮影を有意義に過ごしました。
さて、山の斜面を覆い尽くすほどの紫陽花を前にして早速撮影、といきたいところですが、まずは公園を散策しながらじっくり時間をかけて僕自身が環境に馴染むことから始めます。これにたっぷり1時間をかけたのですが、実はこのぶらぶら散歩が重要で、これをしないといきなり花に対峙して花をどう撮るかばかり考えてしまうんですね。ゆっくりと花の咲いている自然の風景に僕自身が溶け込むことで、一歩引きながら撮影のスポットが見えてくるまで待つという感じでしょうか。
山道を散策していると、紫陽花を撮影されているたくさんの人に出くわします。みなさんファインダーを覗き、思い思いの撮影を楽しまれています。そんな中一人の男性(多分僕より少し歳が上だと思いますが)が、三脚に装着したカメラで紫陽花を撮影していました。登山の服装ではありませんでしたが、雨天に備えた、山に慣れているといった格好で、レリーズを手に握り、スックと美しい立ち姿で、紫陽花(の咲く風景)を撮られていました。僕は見た瞬間にプロか、もしくは相当この場所を撮り慣れた方だなと思ったのですが、その方がレンズを向けている方向を見ると、なるほどこう撮るのかと感心したのでした。それは、紫陽花を撮るでもなく、紫陽花が咲いていることによって彩られている紫陽花を包む空気、その背景にある山の木立に覆われた闇であり、実際にそうしたものを撮っていたかどうかは分かりませんが、僕にはそう見えましたし、そう思った瞬間にこの環境をどのように撮影したら良いかを理解しました。
その出会いは非常に些細なことではありますが、しかし僕の撮影の全体を決定してしまうほどの劇的な体験でもあったのです。ですから写真撮影はとても面白いですし、被写体を前にして何を撮るべきかが分かるという、大げさに言えば雷に撃たれるような衝撃をいつも待っているんだと思いました。
それでは、美の山公園で撮影した紫陽花の写真をいくらかここに掲載しましたので、どうぞご覧いただけましたら幸に思います。
カメラはSONYα7RⅡ、レンズはヤシカコンタックスプラナーT*85mmf1.4、手持ちによる撮影です。