こんにちは。
2020年9月3日、完成写真の撮影をしてまいりました。この日は、役所による上水、下水の検査があり、また急な雨にも降られたため外観の撮影ができず、翌日9月4日の午前中に残りの撮影を終えました。
これから時間をかけて完成写真をブログでご紹介したいと思います。
せっかくですので、写真に写っている建築的な要素や設計のアイディア、建て主さんのご要望をどのように取りまとめたのかなど、お話しできればと考えております。これからお家づくりをご検討されている方にとって、何かしらのヒントになることもあるかもしれませんので、よろしければ僕のブログをご一読いただければと思います。
こちらのお家の建主さんは、もともとハウスメーカーで建築をお考えでした。 しかし、要望を叶えると延床面積50坪になってしまうことから、うちの事務所に来てくださいました。 今回、このお家で実現したことは、ご要望を概ね叶えながら、床面積を37坪までダイエットすることでした。
一般的に面積を縮小する方法として、各室を少しずつ小さくすることが考えられます。もちろん僕も今回の設計においてやっているのですが、それだけでは10坪以上の縮小にはなりません。それでは、要望を諦めていただき、部屋数を減らすことも考えられますが、できればご要望をできるだけ叶えてあげたい。ではどうすれば良いのでしょうか。
僕がこの設計でやったことは、ご要望の内容を部屋とか空間から切り離して、一旦バラバラにしたのち、再構成し直して空間化していくという方法をとりました。これから写真に照らして具対的にお話ししていければと思っていますが、これに合わせて設計者の意図、コンセプトであったり、デザインのためにデザインすることを極力やめる事にしました。建主さんのご希望の大きさに合わせて構成した時点で、建主さんの生活にとっては理想的な、しかし一般的なプランニングからは掛け離れたヘンテコなプランが立ち上がる事が面白いと思ったからです。もちろん僕を通して設計がまとめられるわけですが、そこについては僕の設計の癖や、経験的に身体に刷り込まれた感覚に頼ることにしました。
こうしたお話については、おいおい写真を見ながらお話していければと思っています。
今回は、建物の敷地に対する配置と外構計画についてお話します。
敷地は、南面接道のほぼ長方形で、230m2ほどあります。元々区画整理された際の1.5区画分になっています。この土地に建主さんは、4台の自動車を駐車することを希望されていました。また、敷地南面に大きなお庭が欲しいこと、庭は囲って外部からの侵入ができないことを求められました。建主さんのご要望による駐車場とお庭の配置から、自動的にに建物ボリュームと建築位置が決まりました。建物の建ち方は、北側配置の極一般的なもので、近隣住宅の建ち方のリズムを壊さないようにしています。
郊外で比較的広い敷地を有する場合の建築の配置については、幾らかの建築家が提案をしています。例えば塚本義晴さんは、お兄さんのお家で敷地の真ん中に家を建てる提案をしています。近隣も同じような建て方をすれば、建物を中心に様々な外部空間が出来上がり、子供の遊び場の他、色々な使い方、周辺住民との関係性が生まれるというもので、魅力的であると思います。オランダの建築集団MVRDVなども似たような街区の計画をしています。
しかしこうした提案は、街区として見た時に魅力あるものになるようにも思えますし、街区から計画参入できれば面白い街の形成につながるのではないかと思うのです。元々敷地に建物を北側配置して、南面に庭をとるようにつくられた建築計画で全体化した街区では、建物配置のリズムを壊さない方が、街区としての美しさを維持することもあるのだろうと思います。
駐車スペースは、コンクリート金ゴテ押さえで玄関アプローチと一体化しています。目地を切っているのは、コンクリートのクラック防止と雨水を敷地内で浸透させるためです。
お庭を囲う塀は、120×400×200のコンクリートブロック3段積に50角のアルミパイプを立て、これにエステックウッドという防腐処理した杉板を張っています。この方法ですと、大工工事でできますので、エステックウッドは少々お高いですが、工事手間を簡略化できます。 木塀にしたのも、建主さんがこれに植物のプランターを掛けたいというご要望から決定したものです。
インターホン、表札、postは、Panasonicの既製品ですが、目立たないように出来るだけ簡素なものにしています。というのも、手作りのものや自然素材の中に工業製品が入ると途端に違和感、チープな感じになってしまうことが多いのです。今回は、減額のため造作ではありませんが、この辺りの好みは人によって分かれるところでもありますね。
お庭は、建主さんご家族が、住まわれて後芝を植えるそうです。高麗芝などは、素人ではなかなか手を出しにくいですが、鳥取式という手入れのしやすいものもありますので、こうしたものをお勧めしています。 鳥取式の芝生については、ネットでも簡単に調べられますので、ご参考にされてみてください。