こんにちは。
2021年4月10日の土曜日、千葉市美浜区にあるマンションのリノベーションの設計のため、現場調査に行ってまいりました。
建主様にはじめてお会いしたのは、昨年の年末になります。ご夫婦とまだ産まれて間もないお子さんの3人で、僕の事務所に来てくださいました。その時は、美浜区でマンションを探されていて、リノベーションをご検討されているとのことでした。千葉でも人気のエリアであり、なかなか売りに出ないとおっしゃられていたのですが、今年に入ってからちょうど良い物件をご購入されたとのご連絡をいただき、当計画がスタートしました。
今までお住まいになられていた方が3月の末にお引っ越しになられるということで、このタイミングでのお引渡しとなりました。それまで時間がありましたので、2度ほどマンションの管理室を訪問し、図面を閲覧させていただきました。
管理室に保管されていた図面は、マンション全体の意匠図と構造図、サッシ図と設備図だけでしたので、詳細に住戸の情報を得ることは叶いませんでしたが、それでもある程度の図おこしを済ませ、暫定的ではありますが簡単なプランを作成しての今回の現場調査となりました。
既存建物の場合、残っている図面と実際の現場の寸法が異なっていることも多いため、住戸内を端から実測していきます。これがなかなか手間のかかる作業なのですが、これをやっていないと後々問題も起こりますし、建主さんや工務店さんにご迷惑をおかけしてしまうため、手間を惜しまないようにします。たっぷり3時間の現場調査で、現場でしかわからなかった情報も多数得ることができました。
今回のマンションは、鉄筋コンクリート造の高層の建物になります。こうしたマンションのリノベーションの場合、はじめから押さえておくポイントがいくつかあります。一つは、給排水衛生設備、キッチンやお風呂、トイレなどの給排水のルートです。住戸内のルートとそこからマンション全体のパイプシャフトの位置を確認しておかないと、新規計画で給排水衛生設備の配置計画ができなくなってしまいます。
次に防災設備です。火災報知器やスプリンクラーなど、建物全体の計画にあって建物専属の防災設備会社が入っている場合、こうした設備機器を滅多なことで位置変更などできませんし、しようとすると結構な手間とお金がかかってしまうんですね。
それからエアコン設置位置の確認も不可欠です。エアコンは、室内側にある内機と屋外にある室外機を繋いでいる管があるのですが、これを抜く壁の穴の位置が決まっているため、考慮する必要があります。
あとは、床の仕様について。こうしたマンションでは、管理組合で遮音性能などの決まりがあるため、事前に確認が必要になります。
最後に搬入ルートについて。大きなものや長いものを設計してしまい、住戸まで持ってこれないということがあります。このあたりについても確認、検討が必要になります。
もちろん構造駆体の位置と寸法は、事前に押さえておかなくてはなりませんね。
細かなことは、まだまだありますが、概ね上記したようなことは、事前確認の必要があります。そう考えると、マンションリノベーションというのは、結構な縛りがあり、大胆なプランのご提案というよりも、細部の寸法のコントロールや仕様、仕上げのご提案によって劇的に空間イメージを変えていくということになるかと思います。
戸建の建築とはまた違った部分での面白さと難しさがあるのが、既存建物のリノベーションになるんですね。
さて、今回の計画は始まったばかり。先日の現場調査を元にして、これから図面に落とし込んでいくと同時により具体的なプランを作成していきます。工事や完成は、まだもう少し先になりますが、建主様に喜んでいただけるよう、僕も頑張りたいと思います。