こんにちは。
僕は、建築設計事務所を主宰する傍ら、個人的に建築写真の撮影もおこなっています。建築作品は、土地に根ざしたものであると同時に建主さんの所有物になりますから、完成した後簡単に拝見することができません。故に建築家にとっては、自身の作品を披露したり営業ツールとして使用する方法として、写真や映像に記録することが重要になります。しかし、著名な建築写真家の撮影は高額ですし、なんでも撮りますといって安く撮っていただける方の写真の多くは、建築作品の特徴や良さをきちんと表現してもらえないことが多いです。
そこで僕は、一流の建築写真家の撮影する写真と遜色ないものを、それよりも低価格でご提供できたら建築家の方に喜んでもらえるのではないかと思い、撮影を始めたわけです。僕自身の設計した建築を撮るのもタダですし。とはいっても建築写真の撮影で生活するつもりは当面無いため、現在特に営業活動をすることもなく、お友達の建築家とそこからのご紹介、それからホームページとInstagramから訪問くださった方の撮影をお受けしているだけなのですが。いただいた撮影料も撮影機材の購入に全て回していて、つまり写真を撮ってお金をいただき、そのお金で機材を買ってまた撮るという完全なる円環が出来上がっているわけです。
もちろん建築設計でいよいよ仕事がなくなったら、食べていくために写真撮影を仕事にして、営業もして、と考えてもいるのですが、それでも最近ホームページやInstagramから撮影依頼を受けることが増えてきました。
今回の撮影もInstagramを通じてメールをいただいたものになります。
場所は千葉県某所、住宅地に建つ2階建鉄骨造の倉庫をリノベーションした建築になります。もともと今回の依頼主様のお父様がこの場所でご商売をされていたのですが、引退されて後倉庫もそのままになっていました。長く東京に住まわれていた依頼主様がご実家に戻られたのを機に、倉庫をリノベーションして地域住民のためのコミュニティ施設として開放されることを計画されたのが今回の建築になります。施設名称は「KURA5_53」と名づけられました。
依頼主様は、地元を拠点に活動されている設計者にお願いして、またその設計者の方が建築施工全般を見てくれる知り合いのアーティストに声掛けして、3人で半ばセルフビルドに近い改修を行って完成に至りました。僕が伺った際は、1階が完成していて、荷物の全てを2階に上げている状態でした。まずは1階を撮影し、日をあらためて2階の撮影、その後家具などを設置して施設運営できる状態になったところで最後の撮影となります。
今回は1階の撮影のみでしたが、既存の倉庫の持つ風合いも残しつつ、幾らか手作りの温かみも感じさせる空間が実現していました。鉄骨造の倉庫のためクールなガレージ感もあり、ざっくりとした開口から大きなワンルームに光を回して美しい空間でした。
撮影毎に都度写真をご披露できればと思っていますが、まずは1階をご覧いただければと思います。無骨な2階へ上がる鉄骨階段や簡素なエレベーターも見所です。