こんにちは。
そろそろ梅雨も明けそうですね。
現在僕もいくつかの建築写真の撮影をご依頼いただいています。梅雨の長雨でなかなか撮影に至りませんが、お天気の回復する今週後半から怒涛の撮影ラッシュになりそうです。写真撮影は体力勝負の部分も大きいので、よく食べよく寝る生活を心がけようと思っています。
前回のブログで僕が建築写真を撮影するようになったきっかけを少し書きました。それでは、なろうと思い立って直ぐに建築写真を撮れるようになるものでしょうか。
答えは、YESでありNOです。
YESの理由は、カメラを使いこなして写真撮影を行いレタッチするまでの技術的な部分についてです。今はデジタルカメラによる撮影が主流ですので、書籍やプロの書かれたBLOGを読み、YOUTUBEを視聴すれば、大まかな撮影テクニックを身につけることができます。これが銀塩写真、つまりフィルム写真の撮影ですとより多くのことを学ばなくてはなりませんし、技術を習得するのに非常に長い時間をかけなくてはなりません。得た知識を実践を通してより高度な技術へとアップデートしていくのに、デジタルカメラを使用した撮影であれば、比較的短期間で技術習得が可能であると思います。
一方NOとは、瞬時に建築の特徴を理解すると同時に、その建築を体験した時の空気感のようなものをいかに写真にトレースできるかということになります。そのために光を意識しながら最適なアングル、構図、構成を検討、決定する必要があり、そうしたものから写真を実空間に近づけていく感覚の部分、つまり感性が重要になります。これは体得するのに時間を要するものです。僕は、学生時代、建築の専門誌を読み漁り、そこに掲載されている建築写真を1枚ずつ図面と照合することをやっていました。例えば新建築住宅特集であれば、毎月15前後の作品掲載がありますが、その全てについてこれをやっていたのです。もちろん当時は建築を図面化するための訓練だったわけですが、今思うと建築を写真に情報変換する訓練もしていたんだと思います。また、僕が独立する前に所属していた入江経一さんの事務所では、完成写真を建築写真家の平井広行さんにお願いしていました。平井さんは日本を代表する建築写真家の一人ですが、弟子を持たず一人で撮影をおこなっていましたので、撮影になると僕たち設計事務所の所員がお手伝いするわけです。そこではもちろん写真の技術的なことまでお聞きすることはできませんでしたが、対象となる建築を見極めて構図を決定するに至るまでをライブで体験することができました。また、平井さんはお話し好きな方で、質問すればなんでも教えてくれました。
こうした知識のインプットと、実践を通じてのアウトプットが、僕に建築写真を撮る資質を与えてくれたんだと思っています。とはいってもそれで直ぐに建築写真を撮れるようにはやはりならず、多くの建築を実際に見て撮影を行いトライアンドエラーをくり返すことで、ようやく人様に提供することのできる写真を撮るに至ったのではありますが。
こうした努力は、とても楽しいものです。自分自身を高めていくために自分に向き合うことは、自己肯定感を満たしてくれますし、承認欲求をこじらせて常に他者との比較においてモンモンとすることもありません。僕の周囲でおつきあいのある方達は、皆さんそのようなスタンスで活躍されていて、そうした方達からまた刺激を受けて日々がより楽しくなっていくのだなあと思っているのです。
さて、前回撮影してきました「KURA5_53」さんの倉庫の改修写真ですが、スナップ写真も幾らか撮りました。倉庫の持つざっくりとした味わいに最小限の手を加えた意匠が、なんともいえずマッチしていて美しい空間になっています。
「KURA5_53」さんの倉庫の改修については、これから2階の撮影があり、運営が始まりましたら全景を写真に納める予定でいます。引き続き写真を掲載して参りますので、楽しみにされてください。