こんにちは。
以前このブログでご紹介した千葉県某所、住宅地に建つ2階建鉄骨造の倉庫をリノベーションした「KURA5_53」の2階の写真を前回のブログでご披露しました。
今回は、同じく2階のスナップ写真を掲載します。この建物は、元々倉庫ですので、粗野な風合いが特徴であり、同時に味にもなっています。そうした雰囲気を残しながら、手の痕跡を残すような最小限の改修がなされています。
改修や改装工事では、既存の建築のどこまでを残し、どこから新しくするかを考えるのが大変な作業です。もちろん既存建築に近づけるようにパッケージするよう「直し」ていくのが意匠上は楽です。しかし、コンバージョンやリノベーションの場合は、既存建築と用途や使われ方など異なってきますし、構造設計やデザインの上でも既存建築の良い部分を残しつつ、これとコラボレーションするように新しい提案をしていくことが設計の一つの醍醐味でもあります。そうした既存建築と新規の設計のバランスで改修や改装というのは成り立っているんですね。
ですから僕は、新築の建築とは異なる視点で改修や改装工事をみていますし、他の方の設計された建築作品でも学ぶことが多いように思います。個人的には、既存建築の粗野な風合いを残しながらスパイスのように新しいものを少しだけ付け加えることが好みです。どうしても改装などの場合、主に意匠的に仕上げ表面を覆うような設計になりがちですので、そうなると建築から切り離されたハリボテのような意匠になってしまうこともあります。学生時代、近代建築の持つ構造と意匠、あるいは内部と外部が相補性によって成立する清さに魅了されていたこともあり、既存建築と新規デザインがいかにして関係を持ちながら新たなステージにデザイン昇華していくのかを考えるのは、ワクワクします。
KURA5_53も、既存建築に少しだけ手を加えた意匠の一つの例になるかと思います。スナップ写真を通じてこの建物が持つ独特な空気感をお伝えできましたら幸に思います。