野口修アーキテクツアトリエ設計『ぼくらの家』完成写真(外観)

こんにちは。

昨年夏に野口修アーキテクツアトリエを主宰されている野口修一さんが設計された、千葉県八千代市の戸建住宅『ぼくらの家』を撮影しました。この時は、外構の工事が終わっていなかった為、内観撮影のみだったのですが、外構工事も完了し、建主さんご家族も住まわれて落ち着かれたこのタイミングでの外観撮影となりました。

1月23日の日曜日は、時折お日様が顔を覗かせる程度の曇天でしたので、外での撮影はとても寒く感じましたが、それでも冬の空気の澄んだ中での建築写真の撮影は、気持ちの良いものでもありました。

今回、外観の撮影の他に、住宅の2階にある旦那様の書斎の撮影も頼まれました。外観写真と合わせてご覧いただければと思います。

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ところで皆さんは民藝運動をご存知でしょうか。民藝運動は、1926(大正15)年に柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らによって提唱された生活文化運動です。簡単に申し上げれば作家不詳の名もなきものや道具にスポットを当てるというものです。僕は、この民藝運動から本質的に良いものを見極める眼力の重要性を学びました。例えば有名な作家がつくったものに対して、鑑賞者は作家の知名度に引っ張られてものの価値を判断したりします。しかしそうではなくて、眼前にある対象のみからその価値を見出すわけです。つまりよく見ること、見て良いと思えばそれは良いものなのです。けれど見るものにそれが良いと思える価値の基準を持っていなくてはその価値を他者と共有することも叶わないので、やはり目を肥やす訓練を続ける必要があるんですね。

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建築写真を撮影する際もこのように「よく見る」ことを心がけています。これは、対象となる建築が良いか悪いかを判断するということではなくて、それがどのような類の建築であり、その建築がどのような空間をつくっていて、どのように周辺環境に対して場を形成しているのかを見るということです。建築というのは、ものであり物理的な存在ではありますが、それはそれを使用する空間をつくるために在るものですので、建築が存在することで立ち上がる場や空間の持つ気積にフォーカスすることが重要です。そして、僕は対象となる建築のもつ性質をできるだけ素直に写真を通じて抽出することが大切に思っているため(もちろん僕というフィルターを通すことである種の作家性は存在してしまいますが)、意図的に写真家の作風を上塗りするようなことがないように心がけてもいるのです。

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そんなことを頭の片隅に置いていただいて、僕の撮影した写真をご覧いただくと、また少し違った建築写真の見方をできるかもしれません。そして、こんなことをあらためて書いたのには、最近写真家の作家性やブランディング、コンテンポラリーな写真を取りまく状況やファっション性について考える機会があったため、ここに書いたアプローチとは異なる視点で建築写真を撮ることは可能か、ということを次回のブログで書いてみたいと思っています。そのための伏線、というほどのものでもありませんが、僕なりの建築写真の現在地を探ってみたいと思います。

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それでは、野口修アーキテクツアトリエ設計『ぼくらの家』の外観完成写真(書斎含)をご覧ください。

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