こんにちは。
日頃多くの設計者さんが手掛けられた建築について、写真に収めたものをブログでもご披露しておりますが、僕の事務所も建築設計事務所ですので、もちろん設計のお仕事もしております。
今回は、僕の事務所で設計監理してこの夏完成した『幕張のマンションリノベーション2』をご紹介します。この計画は、幕張にある高層マンションの1住戸をフルリノベーションしたもので、お若いご夫婦とまだ小さいお子さんの3人が住まわれます。
建主さんご夫婦が初めて僕の事務所にお越しいただいたのは、2020年の年の瀬も迫った頃でした。ご夫婦は、幕張新都心に住まわれることをご希望されていて、その時はこの辺りの中古マンションを探されているとのことでした。現在幕張新都心のマンション群の建つエリアは非常に人気が高く、中古物件が出ることも稀ですし、出てもすぐに売れてしまうとのことで、そんな中でもご希望に沿った物件が出るのを待ちながら、継続して物件探しを進められていました。
僕は、ご夫婦のお話をお聞きしながら、これはご希望の物件が出るまで少し時間がかかるかな、と思っていましたが、年が明けて2021年早々に良いマンションが売り出されたので購入の手続きを進めているとご連絡をいただきました。
マンションを探されている間、ご夫婦からはフルリノベーションをしたいとお話しいただき、ご夫婦の理想のインテリアをつくるお手伝いをしてほしいとお願いされました。設計事務所にお願いされる建主さんは皆さん理想のお家づくりを夢見られてお越しくださるのですが、今回の建主さんご夫婦は、ニュアンスが少し違っていて、ご自分たちのデザインを形にしてほしいというものでした。建主さんの奥様は、美大出身でアートやデザインに造詣が深く、ご自身で手を動かしてかたちにすることも当然お好きでいらっしゃいましたので、自分で家をデザインしたいとご要望されたのでした。
よくよくお話をお聞きすると、建主さんの絵を図面に起こせば良いということではなくて、デザインや住まい方に伴う間取りなどのニュアンスを設計の力でまとめ上げてほしいというものでした。僕は日頃、設計者の意匠の恣意性について色々思うことがあったので、直感的にこのコラボレーションは、面白い結果を生むかもしれないと思い、設計をお受けすることにしました。
僕から建主さんへは、ファミリータイプのマンションのフルリノベーションの場合、仕様によって新築で小さいお家一軒建つぐらいお金がかかってしまうこともあるということ、また建主さんのデザインと僕の設計を擦り合わせながらその都度修正を加えていく必要があるため、これも場合によっては新築住宅を建てるほどの時間を要することをご説明し、これらをご納得いただいた上で、設計のご契約を交わさせていただきました。
ご夫婦がご購入されたマンション住戸は、3LDK+DENの延べ床面積で90m2強、屋外の占有面積を含めると100m2を超える広い間取りのものでした。DENというのは、第二リビングのようなパブリックスペースです。
今回の計画で大きく間取り変更したのは、主寝室の奥に位置していたDENの壁を取り払い、玄関から続くパブリックな空間としたことと、LDKに隣接していた個室を開放してAVルームとしてLDKと一続きにしたことです。その他住戸内の全てに手を入れていますので、完成したお家は既存の面影を残すことなく、また目に見える仕上げはそのほとんどを建主さんご夫婦のセンスで彩られたものとなりました。
これから数回に渡り、完成したマンション住戸の写真を添えながら解説していければと思っています。できるだけ今回の計画の詳細を綴っていければと思いますので、このブログはここまで。次回を楽しみにしていただければと思います。
