こんにちは。
まだまだ寒い日が続いていますが、それでも朝晩の冷え込みが少しずつ和らいでいるのを感じます。陽もずいぶん長くなり、時折漂う風の匂いに春の訪れを感じる今日この頃です。
僕の家の、庭の梅の花も先週から満開です。小ぶりのぷっくりした花びらと繊細なおしべの伸びた可愛らしい造形がエッジの効いた枝ぶりと対照的で絵になりますね。河津桜も咲き始めたようで、いよいよ本格的な春の到来を告げているようです。
さて前回のブログでは、「一級建築士事務所なかおデザイン室」の中尾さんが設計監理された『桜町の家』を完成写真でご紹介しました。今回も引き続き同住宅のスナップ写真を幾らか掲載したいと思います。
この住宅は、木造在来工法の建築です。建築の骨格が木造というだけではなく、仕上げに至るまでさまざまな種類の木材が使用されています。これは、建主さんのご希望が大きかったようで、珍しい銘木も各所に使われています。同じ木といってもそれぞれ見た目も癖も違いますから、使い方が下手だと下品になってしまうのが難しいところだと思います。中尾さんは、プランをまとめるのと同じように各所のしつらえも非常に上手に設計されていて、感心しました。手法は多様で、銘木をアイキャッチとして自立させたり、階段の段板など全部違った種類の気を使って遊び心を演出したり。そんな中で僕が上手いなあと思ったのは、異なる部材同士が調和するようにディティールを検討されていたことでした。
前回も申し上げましたが、プラン設計も多くの機能要素をさりげなくまとめ上げていました。同様に仕上げ部材についても多岐にわたる部材を違和感なく上品に調和させていて、設計のスキルが高いことをのぞかせていました。また、部材同士の取り合いを上手く処理されているだけでなく、そこに生じるズレのようなものをズレとしてデザインすることで、空間設計が建築として統合されているのを感じることができました。
この建築は、建築フレームによる大胆な空間提案ではなく、必要な機能、建主さんからの多くのご要望がともすればスケールアウトしてしまうような条件を緻密に積み上げていった結果であると思います。そうした設計を行いながら尚且つ一つの建築として全体化、統一化していることに、僕も多くの学びを得ることができました。