2023年 『桜』写景

こんにちは。

先日映画『シン・仮面ライダー』を鑑賞してきました。『シン・仮面ライダー』は、石ノ森章太郎原作の特撮ヒーロー『仮面ライダー』庵野秀明が脚本・監督を手がけたリブート作品です。リブートというのは、フィクションにおけるオリジナル作品の連続性を捨てて新たに創作することです。

『シン・仮面ライダー』については、賛否両論、良いと悪いが真っ二つに割れる評価がされているようですが、僕は観ていて終始ワクワクすることができました。庵野秀明監督の原作へのリスペクトやその作品への投影は凄まじいものがあり、そもそもカルト組織の怪人たちを仮面ライダーが素手で倒していくというシンプルかつストーリーらしいものも存在しないオリジナル作品をよくぞここまでアップデートすることができたものだと感心しました。同時に、特に原作の石ノ森章太郎作品に通底する空気感、孤独を纏う世界観がそのままトレースされていて、石ノ森章太郎作品独特の読後感を味わうことができました。

同作品に対する賛否両論というのも、そもそも映画に何を期待しているのか、また何をもって映画といえるのかということが関係していると思います。僕は、映画に限らず創造されたものには個々の作品が纏う空気というか匂いというかオーラのようなものが存在していて、鑑賞者の同調性というものがあるにしても、それでも作品の持つオーラが圧倒的であることこそ重要であると思っています。作品は、俯瞰的に全体を見ながら同時にディティールの積み重ねで作られます。鑑賞者は、ディティールを丹念に追うことで全体を見てもいるのですが、ディティールに評価軸を据えると全体像が見えなくなってもしまうのです。如何様な作品評価をするにせよ、僕も木一本一本を追いながら、それによってかたちづくられた森をしっかり見る訓練を怠らないようにしたいと思います。

このあたりの作品批評については、『シン・仮面ライダー』をテキストに丁寧にブログに書いてみたいとも思いますが、こうした思考にまつわる論考は、膨大なエネルギーと時間を必要とするため、今後僕に余裕があったら書きたいと思います。

さて、話はガラリと変わりますが、桜の季節です。今年も仕事の合間に短時間ではありますが桜の花を撮影してきましたので、ここに掲載したいと思います。僕にとっての毎年の恒例行事となっています。

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今年の桜の開花は例年に比べて早かったようですが、僕の印象ではなんだかだらだら始まり、咲き誇る時期に天候に恵まれず、満開かと思えば一緒に葉も出てきて少し残念ではあります。桜の花も心なしか小ぶりで線が細い感じがします。それでもやはり桜が咲くと春の訪れを感じ、心躍ります。

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僕は、桜が愛らしく華やかであるばかりでなく、妖艶でなんとなく神秘的なところが好きです。ソメイヨシノがクローンであり、その遺伝子レベルで刻まれた種の終わりを想像して心が締め付けられるように思ったり、梶井基次郎『桜の樹の下には』のように「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という衝撃的な一文ほどに美しいものです。

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そんな桜に魅了されて、「今年の桜はどんなものか」と肩にカメラを下げてぶらりと出かけるのが僕のこの時期の恒例となっています。今年は、2か所で桜を撮影してきました。モノトーンの写真は、埼玉県東松山市にある上沼公園で撮ったものです。カメラはSONYのα7rⅣa、レンズは同じくSONYのSEL100400GMです。カラーの写真は、事務所から程近い千葉公園で撮影したもので、レンズはCarl Zeiss Jena(カール・ツアイス・イエナ)のパンカラー(50mm f1.8)という旧東ドイツ製のオールドレンズを使用しました。

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僕の自宅の桜の花も散り始めました。桜吹雪を楽しみながら、もう少しだけこの季節を惜しんでいたいと思います。

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