「日々」と一致するもの

2023年『紫陽花』写景

こんにちは。

久しぶりのブログになってしまいました。現在進行中の住宅の実施設計のボリュームが大きく、他のことに割く時間もなかったのですが、最近少し視野が狭くなっていたかなと反省もしつつ、心に余裕を持って日々を過ごしたいものです。

少し前まで科学的根拠のないエセ科学なんかが流行っていたなという印象があります。エセ科学とまでは言わないまでも、現在も教育本なんかでは、子育てをしただけの経験値のみで子育てや教育を語っているもので溢れてもいますね。そんな中最近は、認知科学や脳科学なんかが流行のようで、これらはもちろん科学的な根拠に裏付けられていますので、信頼度の高いソースになります。ことを成すのに10000時間の修練が必要だという「10000時間の法則」や「才能でなく努力をほめよ」など、これについて書かれた書籍は、ベストセラーになっています。

こうした啓発本や教育図書では「エビデンス」が規範にあります。「エビデンス」とは、簡単にいえば根拠とか証拠です。もちろんこうした情報は、エビデンスに裏付けされたものですので信頼に足るものなのですが、ところがこれらの再現実験では、その半数以上が失敗に終わっているんだそうです。例えば「10000時間の法則」の場合、データベースはヴァイオリニストだそうですが、他の分野における再現実験をしたところ「10000時間の法則」を立証できないということなんだそうです。

「エビデンス」で注意すべきは、「ある特定の条件下で」ということを前提にすべき点です。「10000時間の法則」の場合、例えば運や人間関係や環境などに左右される技能の習得や成功については、この通りにならないことを示しています。

つまり僕たちは、科学的根拠を持つ情報、かつキャッチーで聞き心地の良いものについて、ついつい思考停止してその全てを受け入れてしまいますが、むしろ何かを思考するための材料の一つぐらいに思っておけばいいように思います。何事も囚われすぎてはダメで、適度に距離を置きながら俯瞰しつつ、知識の一つぐらいに受け入れるのが良いのではないでしょうか。

さて、6月の半ばに紫陽花をいくらか撮影してきましたので、ここでお披露目したいと思います。

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こんにちは。

ゴールデンウィークも終わり、僕の事務所も今日から通常運転となりました。今年も東京造形大学の授業が始まり、週に一度八王子まで通っています。昨年末から始まった住宅の設計も実施図面を描く段階に入り、また建築写真の撮影のご依頼も幾らかいただいており、忙しい日々を送っています。

先日、銀座にある東京国際フォーラムの設計で有名なラファエル・ヴィニオリの事務所から、東京国際フォーラムの撮影をしてもらえないかとのご依頼をいただきました。生憎スケジュール的にタイトであることと、僕がこの規模の建築を撮影したことがなく、施設利用の賑わいも含めての建築写真ということでしたので、周到な準備が必要と感じたためやむなく辞退させていただきました。僕自身のスキルアップのためにも受けるべきだったかと悔やむ気持ちがないわけではありませんが、撮影するからには最良のものを提供すべきですし、そのための準備を整えられないならば受けるべきではないと判断した次第です。しかし、こんな千葉で細々と建築写真を撮っている写真家に、どういう経緯でアメリカの有名事務所から依頼が来るのでしょうか。それが不思議でなりません。

そんな中、休日は今年から正式に始めた息子のアイスホッケーの送迎をしていて、段々僕自身も環境に慣れてきました。ここ最近は、練習試合や江戸川チャレンジカップという公式の試合も経験して、どんどんアイスホッケーの魅力にのめり込んでいます。

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こんにちは。

2月も後半に入り一年で最も寒さ厳しい季節ではありますが、昨夜は雷鳴を聞き、遠からぬ春の訪れを感じてもいます。

僕の事務所では、作品発表を考えている住宅の設計が始まり、現在建主さんと共に基本設計を進めています。コロナ禍や円安の影響もあり、建築資材の価格高騰が止まらず設計者も施工者もコスト管理ができない状況の中で、建主さんのご希望にできるだけ添いながらも無駄な要素を省いてタイトに設計することに頭を悩ませる日々です。しかし、僕の事務所にお願いされる建主さんの多くは、機能スペックと同じように建築のデザインや空間要素といった付加価値の部分を求められてご依頼くださるので、そうしたものを削らないようにしてバランスよく良いものにしていければと考えています。この他に横浜市の補助金事業の保育園計画を毎年2から3件やっていることもあり、忙しい日々を過ごしています。

前回のブログでも書きましたが、年明けから始めたスケートもだいぶ滑れるようになって、ストップやバックスケーティングなどに挑戦し始めました。スケートの面白いところは、氷上に乗るたびにスキルアップを実感できることです。一つ一つは小さくても新たなことにチャレンジして都度身体が覚えていく、アップデートしていくというのは、とてもポジティブな気持ちになれて楽しいですね。

さて、昨年末になりますが、千葉県で活躍されている「一級建築士事務所なかおデザイン室」中尾さんからお声がけいただき、氏の設計監理された神奈川県秦野市にある『桜町の家』の完成写真撮影に伺ってきました。

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「あけましておめでとうございます」というには遅すぎる新年のご挨拶となってしましました。

もう2月。僕の事務所でも新しいプロジェクトが始動し、年始に打ち合わせがあったり、建築写真の撮影もあり、バタバタと日々を過ごしていたらあっという間に今年もひと月経ってしまいました。世界情勢の不安定感とそれによる少なからず僕達の生活にまで影響を与えている現状について明るい一年の始まりというわけにはいきませんが、それでも皆様にとって、僕にとって良い年であってほしいと願うばかりです。

先日朝日新聞の「天声人語」に、スマホやタブレットによるパーソナルな娯楽の普及によるテレビの衰退が書かれていて、テレビを囲んでの一家団欒の風景を懐かしむというように締めくくられていました。これについて僕は、「まあそうだよね」と思う反面「そうだっけ」と『家族ゲーム』という1983年に公開された松田優作主演の映画を思い出してもいました。『家族ゲーム』は、元々本間洋平作の小説で、後に長渕剛主演のドラマにもなっています。同作品は、ある家族の元に破天荒な家庭教師がやってきたことによって炙り出される家族幻想の解体を描いたものです。

映画『家族ゲーム』に、家族がテーブルの片側に並んで食事を摂るワンシーンがあります。カメラは、家族をテーブル越しに捉え、その食事シーンをワンカットで映すのですが、これは明らかに家族の視線の先にあるのがテレビであり、テレビという外の世界を映し出す窓に対して家族一人ひとりがパーソナルに関係を持っているという状況を描いています。今から40年も前の映画ですが、そこにはすでに家族という幻想の解体があり、家族幻想を共有することの困難さえ描かれているのです。

僕達は、現在(いま)との比較において、過去を懐かしんだり、懐古的な憧憬を抱いたりします。しかしそれは、概ね記憶の改ざんによって捏造されたもので、そうした過去も現在進行形に時代の変化の只中に位置し、何かを失いながら何か新たなものを享受していたに過ぎないように思うのです。僕は、ここで昔を懐かしむことに否定的なわけではなく、事実に対して記憶というのは非常に曖昧なものだということを再度認識したということです。

人は自分に都合の良いように認識したり、そうなるように事実を捻じ曲げたりする(これも認知バイアスによるところが大きいかもしれません)動物ですが、それは時に日常的にも、大きなフレームを持ち出すならば歴史修正主義など混乱や対立を生む要因にもなりうるのです。そんなことをぼんやりと考えながら、トラブルの種に触れないようにする僕にできる方法があるならば、それはできるだけ一次テキストに立ちかえることしかないように思うのでした。

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こんにちは。

僕は、建築の設計や建築写真の撮影をしていますが、日々自身の作品を向上していくこと、より良いものにしていくことを心がけています。そのために最も大切にしていることが、自分の作品を客観的に見ることです。他の良い作品に数多く触れ、それとの比較において自分の作品、思考やスキルも含めて自身の現在地を探ることをとても大事に思っています。

これはなかなか難しくもあり、まず良いものを見極める目を養うことが必要になります。その上でそれとの比較において、自分ができていること、できていないことをきちんと理解することが重要です。

人は誰しも自分の能力を高く見積もる傾向があります。何かを創造する人は、自分に自信がなくてはなりませんし、それでも自分のやっていることに対して常に俯瞰的に見るというのは、何かを生み出すことと同等の強い意志と鍛錬を必要とするでしょう。

ダニング=クルーガー効果というものがあります。デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱した認知バイアスについての知見です。何かをはじめる、少し分かってくるとその分野、世界のことを全て理解したと錯覚し、自信にみなぎる時期がきます。これを「バカの山」と言います。その後、自分の探究する分野の奥深さを知り「絶望の谷」に落ちた後、探究を続け、「啓蒙の坂」を登り、「継続の大地」へ至るというものです。

「バカの山」に居続ける鈍感で幸せな人もいると思いますが、そうした人は何かを向上したり、成し遂げることはできません。そして「絶望の谷」を経験して、自身を磨き続ける人は謙虚です。何故なら、自分の居る世界の奥深さを知っているからであり、その世界における自分の立ち位置を理解しているからです。

生涯を通じて僕はこれからいくつの建築を設計し、どれだけの建築写真を撮影するか分かりませんが、常に作品をアップデートできると信じて「啓蒙の坂」を登っていきたいと思っています。有名が一流と同じではなく、大衆にウケるものが良いものであるとは限りませんし、マジョリティがマイノリティの上位にあるわけでもありません。有名になることや他者からの承認や賞賛を得ること、そのためのツールとして創造を利用することを僕はしません。ただ創造のために創造するのです。日々過去の自分を乗り越えていくことは、僕にとって素晴らしいことですし、そのための研鑽を積むというのは喜びなんだなと思っています。

さて今回は、この夏、鈴木俊祐建築設計事務所の鈴木俊祐さんが設計監理された『市原の家』を撮影してきましたので、ご紹介したいと思います。

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こんにちは。

現在工事監理をしている千葉市美浜区のマンションリノベーションが完成間近となり、最後の調整工事がおこなわれています。先週の週末は、建主さんのご好意により、お知り合いの設計者のお友達にお越しいただいて、細やかではありますが内覧会を開催いたしました。

この他こちらのブログや僕の事務所のホームページ、Instagramを通じてご依頼いただいた建築写真撮影がいくらか重なって、6月から忙しい日々を過ごしておりました。

これらのことについては、順次ブログで報告していきたいと思っています。

さて5月の終わりに、千葉でご活躍されているクボキケンチクの久保木さんが設計監理された平家の住宅の完成写真の撮影をおこないました。今回は、こちらのお家の完成写真をご披露します。

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こんにちは。

本格的な梅雨の季節、ジトジトとした湿気を不快に感じますが、しっとりと雨に濡れた世界を愛でる季節でもあります。

この時期、僕は週に一度大学の授業で八王子まで行っています。今年は完成間近のマンションのリノベーション 工事があり、現場での定例会議も頻繁になってきました。少しだけバタバタとした日々を過ごしていますが、この週末はお天気も良くなかったこともあり、家のことを細々と済ませたりしながらのんびりと過ごしました。

日曜日の朝、時折激しい雨が降っていましたが、急に雨脚が弱くなったなと庭を見ると、母が育てている花々が雨露に濡れて、曇天の下しっとりとした風情で佇んでいました。僕は、暗めの背景に雨に濡れた花が控えめに咲いている絵をイメージして、写真に収めようとカメラを引っ張り出しました。以前紫陽花を撮って非常に相性が良かったオールドレンズであるヤシカコンタックスのPlanarT*85mmF1.4をカメラに取りつけて、サンダルを突っかけて庭に出てみました。

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こんにちは。

年度末から新年度にかけて、僕も公私にわたりバタバタとした日々を過ごしていました。そのため1ヶ月以上ブログも更新できずにおりました。

この間、仕事でもプライベートでも様々な素敵なイベント、出会いがありました。それらについて、また少しずつブログに書き留められればと思っています。

今回の久しぶりのブログは、3月17日の木曜日から一泊で埼玉県秩父郡にある「フォレストサンズ長瀞」でコテージ泊をしてきましたので、その事を少し書きたいと思います。

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こんにちは。

僕は、最近ミニマリストというスタイルに少しだけ興味を持っています。ミニマリストというのは、最小限を意味する「ミニマル」の造語で、ものをできるだけ減らして最小限のものだけで生活を送る人のことを指します。断捨離と似ていますが、断捨離はいらないものを処分することですので、同じではありません。

僕は、ものを最小限にするミニマリストの生活様式に興味があるわけではなくて、自分にとって愛情を注げるものだけを身につけたり身の周りにおいて生活すること、つまり自分が大切に思えるものに囲まれて日々を過ごすということを見直したいと思っています。そのために不要なものを整理しながら、衝動買いなどせずに足りないものを厳選して揃えていこうと思っています。例えば服なんかも素敵だなと思って購入を考えるだけでなくて、この種類の服が必要だという視点を加えるだけで、クローゼットが整理されるように思うのです。

まだ具体的にこうしようと明確な考えがあるわけではありませんが、身近なところで鞄とその中身を見直してみようかなと思っています。ガジェット類も増えてきましたし、ちょっとした外出にカメラも携帯することが多くなってきました。そうしたことに気を使うことで、物理的にものが整理されるだけでなく、気分的にも明るくなるのではないかと考えています。ものを厳選するためにものを調べるという行為も楽しいですし、そんなことをまずはやってみて、良かった点があれば、ものなり整理術なりこのブログでも今後ご紹介できればと思っています。

さて今回は、野口修アーキテクツアトリエを主宰されている野口修一さんが設計された『ぼくらの家』の外構写真に合わせて幾らかスナップ写真を撮影してきましたので、掲載いたします。

硬質で透明な冬の空気感を感じていただけましたら幸いです。そして写真に建築を通じて生活の欠片を見ていただけるようであれば、なかなか上手く撮影できたのではないかと思います。

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サンタヒルズでのクリスマスキャンプ

皆様、メリークリスマス。

早いもので今年ももう年末、あっという間の1年でした。

12月は、師走というだけあって、僕の事務所もフル稼働です。現在、新築の現場監理を1件やっており、マンションのリノベーション、横浜市の年度事業の保育園2件がこれから着工のため、調整に追われています。その他以前設計した建物についての様々なご相談などもいただいていてバタバタしている状況にあります。先日、クライアントのご担当の方から僕の顔が曇っているとのご指摘を受け、気持ちに余裕がないとはいえ、お客様に不快な思いをさせてしまっていることを反省しました。スケジュール管理や自分の体調管理も仕事のうちですから、心穏やかに日々を送りたいと思っています。

ここ最近そんな毎日をおくっている僕ですが、以前設計した『モンタージュ2』のメンテナンスに絡み、建主さんの近況をお伺いしたのですが、僕のこのブログをいつも読んでくださっていて、先日書いた灯油ストーブの話から、現在ストーブのご購入を検討されているとのことでした。僕が購入したものは、キャンプに携帯できるコンパクトなフジカハイペットニューアルパカストーブです。しかしながらお家でご使用されるのであれば、部屋の気積も大きいですし、移動もそれほどしないことを考えて容量の大きなものを選びたいところですね。『モンタージュ2』の建主さんは、もうお目当てがあるようでしたが、キャンプなどでよく使用されるストーブは、デザイン的にも魅力的なものが多くて迷ってしまいます。中には屋外使用しかできないものもあるため注意が必要ですが、僕も気になっているストーブの幾らかをご紹介するとすれば、アラジンのブルーフレームヒータートヨトミのギアミッションキャプテンスタッグ とコロナストーブのコラボモデルスノーピークのグローストーブなどはいかがでしょうか。

どれも魅力的ですね。

『モンタージュ2』の建主さん、もしストーブの件で何かありましたらお気軽にご連絡ください。

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