「アート」と一致するもの

こんにちは。

日頃多くの設計者さんが手掛けられた建築について、写真に収めたものをブログでもご披露しておりますが、僕の事務所も建築設計事務所ですので、もちろん設計のお仕事もしております。

今回は、僕の事務所で設計監理してこの夏完成した『幕張のマンションリノベーション2』をご紹介します。この計画は、幕張にある高層マンションの1住戸をフルリノベーションしたもので、お若いご夫婦とまだ小さいお子さんの3人が住まわれます。

建主さんご夫婦が初めて僕の事務所にお越しいただいたのは、2020年の年の瀬も迫った頃でした。ご夫婦は、幕張新都心に住まわれることをご希望されていて、その時はこの辺りの中古マンションを探されているとのことでした。現在幕張新都心のマンション群の建つエリアは非常に人気が高く、中古物件が出ることも稀ですし、出てもすぐに売れてしまうとのことで、そんな中でもご希望に沿った物件が出るのを待ちながら、継続して物件探しを進められていました。

2022.07.15 佐藤様邸マンションリノベーション 内観写真-47.jpg

こんにちは。

僕は、アート作品を鑑賞したり、それについて色々考えたりするのが好きなのですが、同じくらい漫画を読んだりするのも好きです。カルチャー(文化)について、高尚なものをハイカルチャー、大衆的なものをサブカルチャーと大別することがありますが、漫画のような絵画もあれば、エンターテインメントとしてのアニメーションが非常にアート性を帯びていたりするように、近年ではその境界は曖昧になってきているようです。それでもハイカルチャー、サブカルチャーという棲み分けは、少なくともその分類は当面の間は無くならないと思いますが、作品として素晴らしいものであれば、そうした言語的分類に囚われずに作品そのものを楽しめれば良いと考えています。

僕がサブカルチャーに触れるのは、ハイカルチャーに比較してサブカルチャーを享受する人の総数が多い(母数が大きい)こと、またそれ自体大衆性を帯びていることが多い点で、非常に同時代的であるというのが挙げられます。つまりは、世の中を捉える速度が非常に速いということになるかと思います。

僕は、サブカルチャー作品単体を純粋に楽しみもしますが、同時に他作品と比較しながらあれやこれやと考えるのも楽しんでいます。先ほどハイカルチャー、サブカルチャーの境界が曖昧になってきていると書きましたが、そうした思考ではそれらの境界を横断して、というより文化的分類をそもそも考えずに作品世界を自由にサーフィンすることをお勧めします。例えば「大人になる」ということについて、新世紀エヴァンゲリオンにはなくて、フィッツジェラルドや村上春樹にはあるものなどと思考を巡らせると、作品をフレーム化しているものを探し当てたり、思想的背景を読み込むことで僕達の生きる世界を映し出したり出来るのです。

そうした楽しみをするには少々の思考的センスが必要であり、これは多少の訓練を必要としますが、慣れてくると作品と能動的に関わるゾクゾクするような体験ができるようになると思います。それは最近流行りの作品の伏線回収なんかの謎解きよりも楽しいんじゃないかな、と思うのは僕の個人的感想です。

さて、前々回のブログで鈴木俊祐建築設計事務所が設計監理された『市原の家』の外観完成写真について掲載しました。今回は、同住宅の内観写真をお披露目します。

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こんにちは。

8月6日、小雨がぱらつきそうな、それでも時折薄陽が射す曇天の日、僕は神奈川県小田原市にある『小田原文化財団 江之浦測候所』を訪れました。

『江之浦測候所』は、写真家であり、古美術商であり、現代アーティストでもある杉本博司さんがご自身で設立された小田原文化財団とともに2017年に一般公開した庭園です。相模湾を臨む、元々蜜柑畑であった山の斜面にギャラリー棟、屋外舞台、茶室などの建築の他、杉本氏ご自身のアート作品、古美術品などが配されたランドスケープであり、庭園の体裁をとっているものの総体として一つのアート作品のようでもあります。

僕は、『江之浦測候所』に展示されている多くの収蔵物に感銘を受けるとともに、『江之浦測候所』自体のアートのあり方そのものに衝撃を受けました。『江之浦測候所』については、多くの人たちがSNSなどでも発信、紹介されていますので、今回僕は、個人的な視点による『小田原文化財団 江之浦測候所』の読解を試みてみたいと思います。

キーワードは、「時間」と「空間」です。読解するに当たって杉本博司氏の写真作品である『劇場シリーズ』、古美術商でもあった杉本博司氏の『収集』を手がかりにして、『江之浦測候所』の『「時間」と「空間」の0(ゼロ)地点』を炙りだせれば良いなあと思っています。

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こんにちは。

少し前のことになりますが、2022年6月25日から28日まで小田原の伊豆箱根鉄道大雄山線の井細田駅に隣接したギャラリー「dot.」で岡村ミユさんの2回目となる個展が開催されました。

岡村さんと岡村さんの絵画については、このブログでも『岡村ミユさんの初めての個展へ小田原まで』で紹介させていただいております。

僕は岡村さんの絵画の一ファンとして、今回も車を走らせて個展会場を訪問しました。

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こんにちは。

ゴールデンウィークも終盤、僕は5月3日に千葉県木更津市にある「クルックフィールズ」へ行ってきました。「クルックフィールズ」は、音楽プロデューサー、ミュージシャンの小林武史氏が総合プロデュースされた「食」、「農」、「アート」をテーマにした複合型屋外施設です。オーガニックファーム、酪農場、養鶏場を主軸にアート作品、ダイニング、宿泊施設などが点在しています。

2019年のプレオープンから現在も整備が続けられており、今年の秋にはグランドオープンするのではと予想されますが、それ故今現在入場料が無料のためデイでの公園施設利用もできます。ただし、マイボトル以外の持ち込みができないため、飲食については施設内の利用をしなければなりません。しかし、施設内で販売されている食べ物や飲み物は、決して安価ではないもののオーガニックな食材を使用した美味しいものが豊富に揃っていて、食事目的で訪れるのも良いかと思います。

僕は、サラダ一皿に盛り付けられるように選定された、珍しい野菜を獲ることのできる収穫体験をしたり、猪肉や鹿肉のジビエ料理を楽しんできました。

施設内も広く、グランドオープン前ということもあり、まだ混雑していないのでご興味がありましたらドライブがてら行かれてみてください。東京資本の人造的なテーマパークではなくて、太陽光発電などテクノロジーを活用しながら程よいゆるさをもった近未来的な里山の風景を体験できると思います。

2022.05.03 クルックフィールズ-13.jpg

新年あけましておめでとうございます。

皆様には旧年中大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

このブログは、一応僕の事務所のブログなので、本来であればもっと建築や仕事の話をするべきなのかもしれません。ですが僕が設計者としては寡作なこともあり、作品としてご披露できるものも2年に1回程度です。僕がこのブログで日常に触れ、またアートやデザインなどについても書くのは、もちろん掲載できる建築作品が少ないこともありますが、何よりも建築とはそもそも人の身体的な動きとともに生活そのものを包摂するものであり、そうしたことをできるだけ丁寧に追うことが翻って建築の生成にもつながるのではないかと考えているからです。

僕にとっては、キャンプで張るテントに構造美や生活のレイアウトを重ねますし、写真では被写体と空間の関係を常に追っています。一見関係ないように見えるあらゆる事象が、実は深いところで建築とつながっていて、僕は多分多くのことを建築的に思考しているのだと思うのです。

ですので今年も引き続き、僕の半径3mで起こっている様々なことにアンテナを張ってブログに記録していければと思っています。

2021.12.30 矢生家 餅つき-74.jpg

こんにちは。

2021年5月22日(土)から24日(月)までの三日間、神奈川県の小田原駅から徒歩7分の場所にある旧三福不動産で岡村ミユさんの絵画の個展が開催されました。岡村さんとは、インスタグラムで知り合ってもう2年以上、3年ぐらいになるでしょうか。岡村さんは、当時からずっと鉛筆やダーマトグラフ、チャコールペンシルで描かれた絵画をインスタグラムにpostされていて、僕もその絵をとても魅力的に感じていたのですが、ふとしたことからお互いにコメントし合うようになり、岡村さんの絵のことや哲学や思想的背景なども伺って、より彼女の絵に引き込まれていきました。

岡村さんは、小田原でアートディレクションのようなお仕事をされていて、絵画はライフワークのような位置づけになるでしょうか。彼女は「お守りのようなもの」とおっしゃっていましたが、少なからず生きることの軸をなしている存在が絵画なんだと思います。

岡村さんとは、彼女の中学校の同級生で京都でものづくりをされているpokopokocharuさんとお二人で、神奈川県小田原市で開催されたクラフト展に出店されていた際に初めてお会いしました。2019年の冬の日、風の冷たい吹きさらしの公園の一角でしたが、この時岡村さんは絵葉書を販売されて、直筆の絵を拝見することが叶いませんでした。その後なかなかお会いする機会もなかったのですが、今回初めての個展を開催されるということをお聞きし、「これは必ず伺わなくては」と思い、5月22日(土)の個展初日に車を走らせて行ってきました。

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こんにちは。

新年1月も半ばにさしかかり、だいぶ普段の日常が戻ってきました。とはいっても年末からコロナ禍を取り巻く状況は悪化の一途を辿り、自由な往来や接触を伴う本当の意味での日常を取り戻すのには、まだ時間がかかりそうです。

昨年末、東京でコロナ感染者数が爆発的に増大する少し前になりますが、東京の代々木上原で『ito』という花とアクセサリーを主体としたイベントが開かれました。

2021.01.08 ITO花器-2.jpg

こんにちは。

9月17日の木曜日に、お友達にお誘いいただき、本当に久しぶりの東京散歩を楽しんだのですが、長い引きこもり生活で鬱屈した気持ちから解放されて再び僕の中の美術熱が再燃しました。

そこで、9月末の4連休を利用して、東京竹橋にある東京国立近代美術館で開催中の『ピーター・ドイグ』展を訪問しました。ピーター・ドイグの作品を生で観たことがなかったのでずっと気になっていたのですが、本来であれば6月終了予定であった同展でしたがコロナ禍の影響で開催自体が10月11日まで延期され、幸いにも実物を拝見することが叶いました。

僕にとって、今回同展を観られたことは、今年一番の収穫であったように思います。

2020.09.22 国立近代美術館 ピーター・ドイグ-1.jpg 

こんにちは。

新型コロナウイルスが世界に蔓延して、僕たちの日常生活も様変わりしてしまいました。誰もが大変な毎日を過ごされていらっしゃると思いますが、少しでも肯定的に日々を過ごすことができたらと思います。

建築的に考えてみても、物理的に人が集い交わることで空間的にも何らかのアクションが起きるということについて、今度はその逆、つまり人間同士が接触しないということから建築的、空間的に何ができて、それはどのような効果をもたらすのかというような話も出てくるのではないでしょうか。

他の分野でもそうだと思いますが、建築の世界でも閉じた領域での先進的な提案や議論は、ある種のショックを伴うものである点で魅力的ではあるのですが、現実的に物理的実践ということになるとそう上手くは話は進みません。例えば、少子高齢化社会における「都市を縮小化する、たたむ」なんていう提案は、現実には郊外の肥大、増殖が起こっていたりもするという具合です。

むしろ劇的に「世界」が変わってしまうときこそ人間の生活そのものが変容し、僕たちの住空間に変化がもたらされるように思います。産業革命が近代の扉を開いたということは言うに及ばず、巨大地震や今回の新型コロナウイルスの件などの自然災害なんかも、その後の世界に何かしらの変異を伴うくさびを打ち込むことになるんでしょうね。

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